<第2回>プラモデル業界において独自路線を貫く「童友社」の魅力

童友社
模型・玩具メーカー
日本屈指の玩具メーカー・問屋街である浅草蔵前エリアから車で10分ほどの荒川区。ここで長年にわたって事業を続けてきた老舗玩具・模型メーカー「童友社」があります。
今回のエピソードは童友社社長の内田宗宏さんに、<全2回>にわたって、創業からのエピソードや、商品の魅力について語っていただきます。
◆目次◆
<第1回>60年の時を超えて復刻される「日本最初のプラモデル」
<第2回>プラモデル業界において独自路線を貫く「童友社」の魅力
◆◇◇◇
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<前回>、「知りすぎない」ことが童友社の強みだとおっしゃっていましたが、内田さんは幼少期からプラモデルに囲まれて育ったのですよね?
内田:
実家が焼肉屋をやっていて毎日焼肉だったら「もう焼肉は勘弁してくれ・・・」ってなりますよね?それと一緒で、子供の頃からプラモデルがありすぎて逆に興味がありませんでしたね(笑)
内田:
しかも、子供の頃って「お前のお父さん何やってるの?」っていうお決まりのやり取りがあるじゃないですか。その質問をされるのが嫌で嫌で(笑)
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でも「模型メーカー」って子供には人気がありそうですが。
内田:
模型メーカーといっても、誰もが知る会社は数社しかなくて、「童友社」と言っても誰も知らない。しかも何をやっているか説明しようにも、地味な神輿のプラモデルとかを当時は作っていたので子供ウケしない。それなのに「なんかくれよ」とか言われるわけです(笑)
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模型メーカーの息子ならではの苦しみがあったのですね・・・。
内田:
例えるなら親がプロ野球選手なんだけど、パリーグのセカンドの選手で試合に出たり出なかったりしているから、誰にも説明しづらい的な感じですかね。。(笑)
◇◆◇◇
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そこからよく入社を決意されましたね。迷いは無かったのでしょうか?
内田:
私に職業選択の自由は生まれた時からありませんでしたね(笑)。学校を卒業して自動的に会社に入社することになりました。
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入社されて、どのようなことをされてきたのでしょうか。
内田:
とにかくガムシャラに販売店視察をしていましたね。入社以来、20年くらいは販売店を回り続けたでしょうか。入社時はプラモデルのプの字も理解していなかった私が、気づいたら売れる商品を見極める力が身についていました。
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売れそうな商品をお客様や販売店さんが教えてくれるともおっしゃっていました。
内田:
店舗回りをしたおかげでとにかく業界内で顔だけは広くなったので、いろんな情報がすぐに入ってきますね。これだけ回り続けていると、店のトップの方から現場の方まで全員知り合いになりますし、仲間意識も芽生えてきます。
◇◇◆◇
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2018年の7月には社長に就任されました。ここまで続けてこられたのも「人」に恵まれたからかもしれませんね。
内田:
そうですね。ただ最近は模型専門店が少なくなってしまって、目利きできる店員がずいぶんと減りました。だから逆に何が売れるか分からなくなってきてしまいました。難しい時代です。
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長年業界を見続けてきた内田さんだからこそ、この業界の将来に思うところもあるのではないでしょうか。
内田:
少し感じるのは、業界の偉い人たちが「幼少期からプラモデル大好き」だったような、思い入れの強い人ばかりになってきていること。もちろんそういう方々も必要なのですが、時には「万人ウケ」がわかる普通の感覚を持っている人も必要です。
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たしかに、スーパーカーやロボットアニメのブームを体感した世代の方々が、いま各社で決裁権を持つ役職につかれています。
内田:
戦車・飛行機・車・キャラクターなど、それぞれの世代にとっての「憧れ」があったからこそプラモデル業界は成り立っていますが、自身の「憧れ」だけに固執してしまうと、現代の「万人ウケ」する商品はなんなのかわからなくなる。それでは業界はいずれ縮小してしまうでしょう。
◇◇◇◆
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では最後に、童友社の今後の展望についてお聞かせください。
内田:
今後も我々の強みである「過去の人気金型商品のアレンジ」による商品展開を継続していきます。特に「城」などは老若男女問わず、ユーザーが拡大していることを実感していますのでシリーズを拡充させていきたいですね。
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ありがとうございます。Episoze恒例企画として、読者のみなさんにメッセージをいただいております。
内田:
あ、これアオシマの海野さんも書いてたやつですか?
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はい。青島文化教材社の海野さんには7月に登場いただきました(リンク)
内田:
仲間内で話題になったんですよね。じゃあ海野さん宛のメッセージもつけておきますね(笑)
◇◇◇◇
最後まで内田さんらしいユーモアたっぷりのインタビュー、いかがでしたでしょうか。
これからも童友社は業界内での独自路線を貫き「最大多数の最大幸福」を作っていきそうです。応援しましょう!Cheer!
取材・文・写真:小縣拓馬
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