<第1回>220年の歴史「播州織」の未来を背負う若手職人の挑戦

<第1回>220年の歴史「播州織」の未来を背負う若手職人の挑戦

<第1回>220年の歴史「播州織」の未来を背負う若手職人の挑戦

Kondo Factory

播州織生地メーカー

豊かな自然環境を有する兵庫県「播州・北播磨」地域。先染め織物の国内トップシェアを誇る「播州織」は、ここ兵庫県・播州地域からすべて生産されています。

 

 

今回ご紹介するのは、播州織の特徴を生かした「型紙不要」のスタイキットシリーズ「Fanfare」を展開するコンドウファクトリー。

 

伝統を引き継ぐ若き職人、コンドウファクトリー社長の近藤良樹さんに、<全2回>にわたって、播州織の魅力や、ブランド立ち上げの思いについて語っていただきます。

 

◆目次◆

<第1回>220年の歴史「播州織」の未来を背負う若手職人の挑戦

<第2回>型紙不要のスタイキット「Fanfare」が届ける播州織の魅力

 

◆◇◇◇

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まずはじめに「播州織」とは何か、お教えいただけますでしょうか?

 

 

近藤:

約220年ほど前に宮大工さんが京都の「西陣織」を作るノウハウを習得し、ここ北播磨に持って帰ってきたのがルーツになっている織物です。「先染め」という、糸を先に染めてから織る技法を採用しているところが大きな特徴になっています。

 

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「先染め」のメリットはどういったところにあるのでしょうか?

 

近藤:

大きなポイントは「色落ちしにくい」ことです。世の中のほとんどの生地は「後染め」や「プリント」なのですが、播州織はそれらよりも糸の芯まで色素を沈着させられるのが強みとなっています。主にシャツなどに用いられることが多いですね。

 

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糸を1本1本染めてから織るとなると、それだけコストも高くなりそうです。

 

近藤:

おっしゃる通り手間はかかる技法なので、「先染め」の代表格である西陣織をはじめ、比較的高級な生地として扱われることが多いです。

 

▲織り機に向かう近藤さん

(画像引用:播州織ネクストジャパン)

 

近藤:

しかし、西陣織は主にシルクを使っているのに対して、播州織は綿を使っているので価格を抑えて販売することができます。メイドインジャパンの「綿の先染め織物」市場の中ではシェアの約8割が播州織となっています。

 

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素朴な疑問として、「先染め」してしまうと柄を表現しにくいのではないでしょうか?

 

近藤:

一般的には複雑な柄を表現しにくいため、ギンガムチェックなどのシンプルなものが多いです。ただ我々は「ジャガード織」という紋織物の技術を使って複雑なデザインも表現することを可能にしています。

 

▲ジャガード織により、複雑なデザインの生地も作ることが可能。

 

◇◆◇◇

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そんな播州織ですが、担い手はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?

 

近藤:

機屋(はたや)が最盛期では約2000軒あったものが、今では約150軒くらいになっています。最盛期には月に3000万平方メートル(東京ドーム約600個分)の播州織が織られていましたが、現在では200万平方メートルに減少しています。

 

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激減した理由はやはり海外の安い製品が増えたからでしょうか?

 

近藤:

最大の原因は輸出が減ったことです。実は国内で利用される播州織の量は最盛期からあまり変わっていなくて輸出量だけが激減しています。中国やアジア圏の安い生産品が増加したのが背景にあるのだと思います。

 

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国内消費量があまり変わっていないのは意外です。

 

近藤:

私もそのデータを初めて見たときは驚きました。しかしながら播州織の担い手は平均年齢が70代。65歳以上の方が8割を占めていて、深刻な後継者不足に悩まされています。

 

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供給量が自然減少していく構造になってしまっていますね。

 

近藤:

なので私を含め、若手の有志を中心に「播州織」を広報する取り組みや、自社ブランド商品を持って直販するような新しい事業に取り組む機屋も少しずつ出始めています。

 

◇◇◆◇

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その若手有志の活動を少しお聞かせいただけますか?

 

 

近藤:

8年ほど前に織物協同組合の理事長が「せっかく若いものいるんだからグループを作って活動したらどうか」とお声がけいただき、もともと面識の無い若手後継者たちが集まり「Banshu-ori Next Japan」というユニット名で活動しています。

 

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面識は無かったとしても、播州織の未来を背負う思いはメンバーに共通していそうです。

 

近藤:

我々が残っている最後の後継者と言っても過言ではないので、播州織をなんとかしなきゃいけないという危機感は共有していると思います。具体的な活動としては、主にイベントなどに出展して「播州織」の広報活動に取り組んでいます。

 

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とはいえ、先ほどの業界構造でもおっしゃっていた通り、「播州織」を広めてもなかなか結果が出にくいこともあるのではないかと思います。

 

近藤:

おっしゃる通り、アピールしてもすぐには仕事に繋がらないという難しさはありますが、現在では地元の商工会が後押しもしてくれているおかげで、イベントへの出展も続けることができています。

 

◇◇◇◆

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実際にお客様の反応はいかがですか?

 

近藤:

最近感じるのは「作り手」に対する興味を持っているお客様が多いこと。展示会などでも、播州織の商品だけでなく、誰がどのような背景で商品を作っているか、という部分に興味を持っていただくことが多いです。

 

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御社は自社ブランドもやられているので、より一層お客様の反応を感じられることも多そうです。

 

近藤:

そうですね。まだ自社ブランドは始めて間も無いですが、買っていただいたお客様には気に入っていただけている手応えを感じています。いかにお客様を広げていくかが今後の課題ですね。

 

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近藤さんをはじめとする若手後継者に「播州織」の未来はかかっていますね。

 

 

近藤:

北播磨地方で広がった「播州織」ですが、いまでは機屋が現存する地域は西脇市・加東市・多可町だけになってしまいました。継いだからにはなんとかしなくちゃいけない。試行錯誤は続きますが、メイドインジャパンの「播州織」の火を絶やさないよう頑張りたいと思います。

 

◇◇◇◇

いかがでしたでしょうか?メイドインジャパン「播州織」の未来を背負う、若手後継者たちの奮闘はこれからも続きます。

 

次回、コンドウファクトリーの創業秘話と、型紙不要スタイキット「Fanfare」ブランドについて語っていただきます。

 

To be continued <第2回>型紙不要のスタイキット「Fanfare」が届ける播州織の魅力

 

取材・文・写真:小縣拓馬

写真協力:コンドウファクトリー

 

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