<第1回>ロボ好きドリームチームがつくる、「食玩」の世界

バンダイ スーパーミニプラ
食玩・本格組み立てプラキット
[PR]株式会社バンダイ
スーパーやコンビニのお菓子売場に行くと必ずある「食玩(玩具菓子)」。ついつい手を伸ばした経験のある人も多いのではないでしょうか?
バンダイ キャンディ事業部はこの「食玩」市場を専門として、常に市場を牽引してきたトップランナーです。
今回のエピソードは、バンダイより8月発売予定の新商品、スーパーミニプラ「百獣王ゴライオン」の開発に携わった、野中剛さん(トイデザイナー)、坂本英貴さん・平松悟さん(メガハウスOEM事業部)の3名に集まっていただき、おもちゃ開発の舞台裏や、「百獣王ゴライオン」開発秘話について語っていただきます。<全5回>
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本日は、間も無く(取材時)発売となるスーパーミニプラ「百獣王ゴライオン」の開発に携わったメンバーの皆様にお集まりいただきました。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
一同:
「よろしくお願いします。」
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それでは早速、皆さんの自己紹介・・・。の、その前に、商品が生まれるまでの流れと、皆さんの関係性を整理させてください。
まずは発売元であるバンダイ キャンディ事業部より、スーパーミニプラ 「百獣王ゴライオン」商品化の企画が出されます。
野中:
「はい。企画された段階で、私の元にバンダイの担当者から相談がきて、今回の商品のコンセプト・プロダクトデザインを一緒に検討していきました。」
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野中さんはフリーのトイデザイナーとして、商品のプロダクトデザインを担当されたのですね。そしてデザインが作成された後は、「設計・開発」の工程に続きます。
坂本:
「そうですね。野中さんが描いたデザインをベースに、設計図に落とし込み、具体的な商品機構やパーツ構成を検討していきました。」
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もともとのデザインを立体化して検討する段階ですね。
平松:
「坂本が設計した図面をもとに、試作品をつくります。見た目や遊びやすさ、安全性など、様々な要素を考慮して、何度も何度もテストを繰り返していきました。」
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坂本さんと平松さんはどのような役割分担をされているのでしょうか?
平松:
「常に二人で話し合いながら進めていますが、坂本が主に形状・機構設計担当で、私が試作品のチェックや生産管理の部分を担当しています。」
平松:
「また、今回の『百獣王ゴライオン』は中国の工場で生産しました。設計が完了したら、中国で金型をつくり商品を生産していきます。プラモデルは金型の微妙な調整によってパーツの組み合わせ具合が大きく変わります。今回は私も中国に実際に行き、ギリギリまで工場の方々と微調整を一緒にやってきました。」
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なるほど。そうしたたくさんの試行錯誤を経て、全国のスーパーなどに商品が並ぶわけですね。
野中:
「店頭に並ぶパッケージのイラストも、私が手掛けました。最終的な商品の形状をもとに、売場でも目立つように描いたつもりです。」
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ありがとうございます、皆さんの関係性が良くわかりました。それにしてもこのパッケージイラスト、めちゃくちゃかっこいいです・・・。
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さて、続いて自己紹介に移りたいと思います。野中さんは、フリーのトイデザイナーとしてご活躍されていらっしゃいますが、もともとはバンダイ出身なんですよね。
野中:
「そこらへんを全部話したら長くなるよ〜(笑)」
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お願いします!(笑)
野中:
「年齢は『ウルトラマンと同い年』の1966年生まれです。なので、テレビキャラクターや特撮作品の全盛期とともに、少年時代を生きてきました。」
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「仮面ライダー」が1971年生まれ、「マジンガーZ」も1972年生まれ。まさに、ヒーロー黄金時代に幼少期を過ごされたのですね。
野中:
「そうですね。そういったアニメのグッズなどに影響をうけ、昔から将来の夢は『おもちゃ屋さん』か『絵描き』か『考古学者』でした。」
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そこから、実際にバンダイに1987年に入社し、夢を実現されます。
野中:
「ちょうど『ゴライオン』のアニメをやっていた高校生の頃(1981年〜)に、ポピーという会社から『超合金』というシリーズのおもちゃが発売されていたのですが、そのCM映像のかっこよさに衝撃を受けたんです。」
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アニメではなく、おもちゃのCM映像に、ですか。
野中:
「そうです。プロダクトも含め、ある意味アニメの本編よりもかっこよかった(笑)。こんなかっこいい商品をつくる仕事がしたい、と思い玩具業界を志すようになりました。」
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バンダイではどのような仕事をされていたのでしょうか。
野中:
「『スーパー戦隊』『仮面ライダー』『ウルトラマン』といった、男児向けキャラクターコンテンツの玩具企画やデザインを入社からずっとやっていました。」
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そのように子供向け玩具を企画し続けるかたわら、1997年に史上初のハイターゲット向け合金玩具「超合金魂」を企画されています。最初の商品「超合金魂 マジンガーZ」は大ヒットを記録しました。
野中:
「『超合金魂』は、自分が子供の頃大好きだったキャラクターを大人でも満足できる造形に作り直したシリーズです。当時はハイターゲット向け玩具ビジネスの流れが出始めた時代で、専属の部署もありませんでした。今年、バンダイからハイターゲット向け商品を中心に扱う新会社『BANDAI SPIRITS』ができましたが、まさかここまで大人市場が大きくなるとは、当時は思ってもみませんでしたね。」
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2014年にバンダイを退職され、トイデザイナーとしてフリーで幅広く活動されています。これまで携わった商品で一番思い入れのある商品はなんでしょうか?
野中:
「たくさんありすぎて・・(笑)。でも、最近のアイテムで一つ挙げるとするなら『太陽の塔のロボ』でしょうか。もともと趣味で作ったものでしたが運良く商品化され、ヒットを記録しました。ちょうどバンダイを辞めた2014年に発売になった、いわば卒業制作のような商品ですね。」
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続いて、坂本さんのご経歴をお聞かせください。
坂本:
「私は学生時代はおもちゃではなく、ゲームを作りたいなと思っていたんです。ただ電子工学の学校を卒業していたので、ゲーム作りではその経験をあまり生かすことができないなと感じていました。そのとき、ちょうどビーアイ(メガハウス社の前身)という会社が、ゲームもおもちゃも両方開発していたので、1994年に入社を決めました。結局入社後、ゲームは一切つくっていませんが(笑)」
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入社後、どのような仕事をしてこられたのですか?
坂本:
「最初は電子玩具の電子回路設計を主にやっていました。1997年に、3社合併によりメガハウスができたタイミングで部署異動し、玩具設計に配属されました。」
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これまでどのようなおもちゃを設計してこられましたか?
坂本:
「OEM 事業部として、食玩の設計をやらせていただくことが多いです。様々な商品に携わってきましたが、近年は『ミニプラ』というスーパー戦隊のプラモデルシリーズを担当し、ひたすらロボットを設計しています。」
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様々な経験を経て、いまの仕事にたどり着かれたのですね。
坂本:
「もともと、スパロボ(スーパーロボット大戦)系のアニメはほぼ見ていたくらい、ロボットコンテンツが大好きでした。たまたま巡りあった仕事ですが、いまの仕事が自分に一番合っていたのだなと思いますね。」
◇◇◇◆
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では平松さんの自己紹介をお願いします。
平松:
「さきほど野中さんがウルトラマンと同い年とおっしゃったので今調べてみたら、私は『ゴライオンと同い年』の1981年生まれでした(笑)」
一同:
おお!(笑)
平松:
「ただ残念ながら『ゴライオン』はリアルタイムで見ていません(笑)。私は物心つく前から『ガンダム』が大好きで、2歳頃の写真を見るとなぜかパーフェクトガンダムのプラモデルを持っているような少年でした(笑)」
野中:
「えっ、それってお父さんが好きだったんじゃないの?(笑)」
平松:
「いや、父は全然興味がなかったので、謎なんです(笑)。物心ついた時に好きだったのは『SDガンダム』で、ガシャポンやカードダスを集めまくっていましたね。時を経ても、ガンダムやプラモデルが好きで、こういうものを作れる仕事がしたいなと思い、2004年にメガハウスに入社しました。」
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入社後はどのような仕事をされてきたのでしょうか?
平松:
「10年間、坂本と同じOEM事業部で、食玩の設計・生産担当をやっています。合間に3年間、フィギュアをメインに企画しているライフホビー事業部で『ヴァリアブルアクション』という可動ロボットフィギュアシリーズの担当をしていたこともありました。」
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特に思い入れのある商品はありますか?
平松:
「シリーズ立ち上げに関わらせていただいた『アサルトキングダム』シリーズですかね。」
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物心つく前から好きだった「ガンダム」の商品ですね。
平松:
「そうですね。最近でいうとこの『スーパーミニプラ』シリーズも思い入れがあって、設計の坂本と二人でタッグを組みながらロボットの商品をひたすら作らせていただいています。」
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幼い頃からロボットが大好きだった皆さんが集まり、思いを込めてつくるスーパーミニプラ「百獣王ゴライオン」。まさに「ドリームチーム」ですね!
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今回のエピソードは、対談いただくお三方のこれまでの経歴をお聞きしました。共通しているのは、みなさん「この仕事が好き」ということ。
好きに勝るものはなし。そんな思いを感じながら商品を手にとると、こちらも自然と楽しくなってきます。
To be continued <第2回>トイデザイナー野中剛・流、ヒット商品の企画術
取材・文・写真・図:小縣拓馬
写真協力:株式会社バンダイ
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