<第2回>トイデザイナー野中剛・流、ヒット商品の企画術

<第2回>トイデザイナー野中剛・流、ヒット商品の企画術

<第2回>トイデザイナー野中剛・流、ヒット商品の企画術

バンダイ スーパーミニプラ

食玩・本格組み立てプラキット

[PR]株式会社バンダイ

 

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今回は商品企画の部分を深掘りしてお聞きしたいと思います。

 

 

野中さんはバンダイに在籍された時から、大ヒット商品を数多く手がけられてきました。企画を練る際に心がけていらっしゃることはありますか?

 

 

野中:

「スティーブ・ジョブズの言葉で、『人は形にして見せられるまで、自分は何が欲しいのかわからない(A lot of times, people don't know what they want until you show it to them.)』という言葉があります。本当に新しい企画というのは、内容を説明しただけでは、分かってもらえないことが多い。」

 

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たしかに。iPhoneが登場する前に「スマホが欲しい」と言っていた人はいませんでした。

 

野中:

「同じ趣旨のことを、私の師匠である村上克司さん(元バンダイ・工業デザイナー)が違う言葉で、『ぽん、と目の前に商品を置いた時に、「あ!僕が欲しかったのはこれだ!」と子供が気づく商品が良い商品だ。』と言っていました。まさにヒットする企画ってこの通りだなと思っていて。」

 

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子供たちに欲しいものを聞いても、決してそのような企画は生まれないということですね。

 

野中:

「たとえば、1981年に村上さんが企画した『ゴールドライタン』という大ヒットロボット作品があります。ロボデザインとしては決して強そうではなく、四角いライターの箱から手足が出ているだけ。武器もついていないし、全身金色。しかも、『子供はライターが好きなんです!』なんて言えないですよね(笑)。この情報だけを見ると、『ゴールドライタン』が売れる証明はできない。」

 

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たしかに。

 

野中:

「村上さんご自身は愛煙家(当時)だったので、ガジェットとして『金属の光沢のあるライターは良いものだ』という大人の目線を持っていた。そして、『大人が良いと思うライターがロボットに変形して、小さいけれどスーパーパワーで守ってくれたら子供は興奮するに違いない』という『妄想』を持っていたと思うんです。

 

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「妄想」から企画が始まったのですね。

 

野中:

「『ゴールドライタン』の見た目や形は本当のライターと見間違えるほど良く出来ていて、できないことは火がつくことだけ。このコンセプトが当時の子供たちに刺さり、大ヒットしました。結果的に、村上さんの『妄想』は証明されたわけです。」

 

◇◆◇◇

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とはいえ、「妄想」だけでは、なかなか周囲を説得することができないのではないでしょうか?

 

 

野中:

「もちろん妄想だけでは具現化までたどり着くことはできません。なので、企画には『妄想』と『情報収集』のステップがあります。

 

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「妄想」と「情報収集」、ですか。

 

野中:

「たとえば、『こういう商品があったら面白いなぁ』という妄想が先に自分にあったとします。しかし、それを単に具現化しようとしても、誰も価値を理解してくれません。それは、『世の中にまだないもの』だから。

 

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そこで「情報収集」を行なう。

 

野中:

「はい。『妄想』を補完する『情報収集』のステップが必要です。近しいコンセプトの成功事例を探してみたり、誰もやってないとしたら、そもそもニーズが無いのではないか、と『妄想』を疑ってみたり。この『妄想』と『情報収集』を絶えず行ったり来たりしながら企画を具現化していきます。

 

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たとえば今回のスーパーミニプラ「百獣王ゴライオン」のようなキャラクター商品の場合、あまり「妄想」は必要ないようにも思います。

 

 

野中:

「キャラクター商品をハイターゲット向けに、という企画の場合は、キャラクタートレンドなどの『情報収集』ステップが先になりますが、その根本には『ゴライオンが好き!』というパッションはやはり必要かなと思います。私はゴライオンを幼少期に見ていた世代ではありませんが、企画担当者としてアニメを全話見るのは当たり前。ファンの方の期待に応えられるだけの努力はするべきでしょう。

 

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全話見るだけで相当時間がかかりそうです・・・。

 

野中:

「いまは見る方法がたくさんあるから楽なほうですよ。パソコンも無かったような時代には、ビデオプリンターという機械を買ってきて、ここ!というタイミングでボタンを押して写真を何枚も出力してデザインやディテールの資料を集めていました。(笑)」

 

◇◇◆◇

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今回の企画は、バンダイ キャンディ事業部が企画した「スーパーミニプラ」シリーズの一環です。

 

野中:

「『スーパーミニプラ』の説明の前に、そもそもキャンディ事業部ってなんだ?という方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明しましょう。バンダイのキャンディ事業部というのは、『玩具菓子』と呼ばれる、お菓子売り場に置かれるおもちゃや菓子を専業として企画している部署になります。

 

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おもちゃに小さなガムやラムネがついていますよね。

 

 

野中:

「でも、『おもちゃとお菓子どちらがメインなの?』と聞かれると完全におもちゃですけどね(笑)」

 

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まぁ、そうなりますよね(笑)

 

野中:

「そして、このキャンディ事業部のなかで『ミニプラ』というシリーズが生まれました。『スーパー戦隊』のロボット玩具を、お菓子売り場のフォーマットに合わせて作り直したシリーズです。1個350円くらいの商品を数体集めると、合体ロボットをつくることができる商品で、長く支持されているシリーズです。」

 

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しかし、今回は「スーパー」ミニプラですよね?

 

野中:

「実は『ミニプラ』は長い歴史の中で不思議な進化をとげました(笑)。昔は玩具の廉価版というイメージだったものが、いつしか関節の可動範囲が広がり、プロポーションも独特のアレンジがなされるようになった。大人のファンもたくさんいるようなシリーズへと育ちました。

 

◇◇◇◆

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そして「スーパー」が始まった。

 

 

野中:

「『スーパーミニプラ』が始まったのは約2年前。私も長く一緒に仕事をしていた後輩がリーダーとなって立ち上げました。このシリーズの商品は完全に大人向けで、見た目も可動域もすごいのに、ガムは一応ついている、という不思議な商品です(笑)

 

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たしかに(笑)

 

野中:

「そして、スーパーミニプラ を立ち上げた者の下で10年程やっていた方が今回の『百獣王ゴライオン』の担当者で、私に声をかけてくれました。実はミニプラ商材のデザインを手掛けるのはこれが初めてです。

 

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そうだったんですね。村上さん、野中さんから脈々と受け継がれてきた企画術が、いまの「スーパーミニプラ」には生かされているのですね。

 

野中:

そう言われてみると、孫世代が頑張ってくれていますね(笑)

 

◇◇◇◇

今回は玩具業界の誇る伝説の企画開発マン、野中剛さんの企画術に迫りました。いまも脈々と受け継がれるノウハウにより、ヒット商品が次々と生み出されていきます。

 

今後も、「あっ、僕が欲しかったのはこれだ!」と思う商品が出てくるのが楽しみです。

 

To be continued <第3回>プラモデル設計者の頭の中、大解剖SP!

 

取材・文・写真・図:小縣拓馬

写真協力:株式会社バンダイ

 

 

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