<第3回>プラモデル設計者の頭の中、大解剖SP!

バンダイ スーパーミニプラ
食玩・本格組み立てプラキット
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<前回>の企画に続いて、今回は商品設計・開発の部分をお聞きしたいと思います。
平松:
「はい。我々の仕事は、企画された商品デザインを、安全性や遊びやすさなど、様々な要素を考慮しながら商品としてベストな構造に落とし込んでいくことです。そこで重要になるのが、プラモデル設計のベースとなる『パーツ分割』です。」
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パーツ分割、ですか。
坂本:
「こういった感じで、商品のパーツ構成を検討していきます。時間と手間の多くも、この『パーツ分割』を考える部分に割いています。」
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す、すごい。これは絶対に出来ない自信があります(笑)。どういった順序で「パーツ分割」は考えていかれるのでしょうか。
坂本:
「私のやり方は設計者としては少し特殊かもしれませんが、まずアニメをたくさん見て、『自分だったらこう動かしたいな』と遊ぶシーンのイメージを膨らまし、自分なりにデザインを書いてみます。」
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資料としてデザインを企画側からもらうのに、ですか。
坂本:
「そうですね。純粋な設計者はもらった資料を形にするのが仕事ですが、私はちょっと企画寄りの仕事もしているのかもしれません。もらったデザインは変えないと気が済まないんです(笑)」
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野中さんのデザインを変えるのは勇気がいりそうです(笑)
坂本:
「実はこの考え方は、野中さんの影響をかなり受けていまして・・・(笑)」
野中:
「ドキッ!(笑)」
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坂本:
「超合金魂シリーズの『マジンガーZ』を初めて見た時に衝撃を受けたんです。そしてその時に初めて、野中さんの名前を知りました。『こんなに絵も描けて、企画もできるすごい人がいる』、と。」
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超合金魂の『マジンガーZ』が発売になったのが1997年のことですね。
坂本:
「その時からずっと野中さんの存在を意識していて、何かものづくりをするには自分で絵も描けないと駄目なのかな、と考えるようになりました。」
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そこから、設計者でありながらデザインもされるようになった。
坂本:
「そうですね。昔、漫画家さんやイラストレーターさんのインタビュー記事で読んだのですが、『絵を描くとは?』という質問に対して、ほとんどの方が『頭の中の映像をただ紙に模写することだ』と答えていました。それを逆に言えば、頭の中にイメージができていないと、絵は描けないということ。」
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だから設計者でありながら、アニメもたくさん見て、デザインもされるのですね。
坂本:
「はい。絵が描けるということは自分の中に作りたい商品のイメージが固まっていること。逆に、絵が描けないことには、自分の作りたいものは作れないという信念が根底にあります。」
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イメージが固まったのち、「パーツ分割」はどのように考えていくのでしょうか。
坂本:
「まずは動きを考えます。たとえばロボットを作る時、腕を動かしたければ胴と腕のパーツが分かれてないと動きませんよね。今回の『百獣王ゴライオン』の場合、アニメで描かれる決めポーズがいくつかあるので、そのポーズをイメージしながら大まかにパーツを分割していきます。」
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なるほど。
坂本:
「次に、それだけだとパーツはかたまりの状態なので、半分にかたまりを分割して、プラモデルとして組み合わせられるようにします。」
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徐々にプラモデルらしくなってきました。
坂本:
「そうすると、今度は半分に分割したパーツの中に何が入っているんだろうと考えます。関節が入っていたりしますよね。そこで関節のパーツを考える。ここまでが基本となる大まかな考え方です。」
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ここまでで形は見えてきた気がします。
坂本:
「ここまでは比較的シンプルなのですが、カラーリングの再現や安全基準、誰でも遊べる組みやすさ、といった要素を複合的に考えて最終的にパーツ分割は完成していきます。」
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一度パーツ分割が完成しても、平松さんと坂本さんで検討を繰り返されるのですよね。
平松:
「坂本は本当にすごい人なので、あまりツッコミどころが無いんですよ(笑)。ただ、私もガンプラなど普段からプラモデルを組むユーザーの一人として、色の塗りやすさ、ポージングの取りやすさなど、何度も組み立ててみてユーザー視点の意見を出すようにしています。」
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ユーザー視点で検証を繰り返すのですね。
平松:
「たとえば取扱説明書をつくるときも、とにかくユーザーが分かりやすいように、ということを常日頃意識しています。試作品を組みながら、本当にこれでいいんだろうかということを何度も何度も繰り返し検証していますね。」
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スーパーミニプラ「百獣王ゴライオン」、私も組み立てましたが、取扱説明書が非常にわかりやすくて楽しかったです。
平松:
「ありがとうございます。組み立てやすさもそうですが、もっと言えば組んでいる瞬間にワクワクしていただきたい。そう思いながらいつも取扱説明書は作っていますね。」
◇◇◇◇
今回のエピソードは、プラモデル設計者の頭の中を少しだけ覗いてみました。いつもなにげなく遊んでいるプラモデルも、設計者の意志を感じながら組み立ててみると、新たな発見や感動があるかもしれません。
さて、次回はお待ちかね、「百獣王ゴライオン」開発秘話です!
To be continued <第4回>スーパーミニプラ「百獣王ゴライオン」開発者対談
取材・文・写真・図:小縣拓馬
写真協力:株式会社バンダイ
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