<第1回>世界初、金網折り紙「おりあみ/ORIAMI」開発秘話

おりあみ/ORIAMI
世界初の金網折り紙
世界で初めての、「金網の折り紙」が誕生!
そんな噂を聞きつけて訪れたのは、東京都荒川区にある石川金網株式会社。
あたたかく迎えてくださったのは、3代目社長の石川幸男さんです。
今回のエピソードは石川社長に、「おりあみ/ORIAMI」誕生の舞台裏について、<全2回>にわたって語っていただきました。実はとっても深い、「金網の世界」の物語をお楽しみください。
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早速ですが、「おりあみ/ORIAMI」とはどんな商品か教えていただけますか?
石川:
「『おりあみ』は金属の金網で作られた折り紙です。本来は折り紙として開発されたものなのですが、現在はハンドメイドやホビーの世界でも使っていただいています。」
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折り紙で作ったとは思えないコサージュですね。
石川:
「そうですね。『おりあみ』の特徴は、布のように柔らかく、紙のように折ったりできることです。普通の布は折ることができませんが、金属には形状記憶特性があるので折ることができるんです。」
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たしかに、使用用途が一気に広がりそうです。
石川:
「フラワーアートやハーバリウム、アクセサリーなど、予想外の使用用途で多くの方に利用いただいていますね。」
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反響は想定以上だったのでしょうか?
石川:
「そうですね。最初は折り紙ファンに使っていただくイメージだったのですが、 意外と折り紙ファン以外の人の反響が大きかったですね。」
◇◆◇◇
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この商品の着想のきっかけはなんだったのでしょうか?
石川:
「石川金網は、金網を長年製造してきた会社です。職人の中にたまたま折り紙が好きな方がいて、ためしに金網で折り紙を作ってみたのがきっかけです。」
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いきなり今のようなものが出来上がったのでしょうか?
石川:
「いえ、最初の試作品は職人には折れても、一般の人には折れないようなものでしたね。」
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開発する上で苦労されたポイントはどこでしたか?
石川:
「やはり安全性の部分です。どなたが使っても怪我しないように作ることが難しかった。」
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たしかに、通常の金網だと、刺さったりする危険性がありそうです。
石川:
「何度も試作を繰り返し、日本折り紙協会さんの先生達と一緒に研究もさせていただきました。」
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開発にどれくらいの期間を要したのでしょうか?
石川:
「3年はかかりましたね。なんとか最後には小学生でも安全に自由に楽しめる仕様になり、2015年の11月に第一弾を発売することができました。」
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3年もかかって開発されたのですね。御社の開発技術の独自性をお聞かせください。
石川:
「手織りの『手機(てばた)』で金網を試作している会社はうちくらいじゃないですかね。」
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金網を、手織り、ですか?
石川:
「こちらが手機と呼ばれる、金網用の手織り機です。」
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こ、これは完全に「鶴の恩返し」の世界ですね(笑)。いまだに手作業するメリットがあるんですか?
石川:
「金網の試作品をつくるときに、自動機械だとどうしても材料に無駄が出てコストがかかってしまいます。その点、この手織り機なら無駄な材料が出ないので、安価に素早く試作品作りができるんです。」
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「おりあみ」のような新技術をつくる際に、コストをかけずに多くの試作品がつくれるんですね。
石川:
「そうですね。このやり方は他社が真似しようとしても、なかなか真似できるものではないでしょうね。」
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もともと金網専門メーカーで、ホビー業界とは畑違いの御社が、ゼロから商品をつくり、販路開拓もされてきました。
石川:
「徐々にですが、大手量販店さんやミュージアムショップでも売ってもらえるようになりました。商品のカラーバリエーションも増えてきました。」
石川:
「実は金網だから半透明という面白い特徴もあります。このように『おりあみ』のもつ可能性は大きいと思いますが、まだまだ宣伝不足なので、ワークショップなどを通してもっと多くの方々に魅力を伝えていきたいですね。」
◇◇◇◇
今回は、「おりあみ/ORIAMI」開発秘話のエピソードでした。いまだに昔ながらの手織り技術を持っているからこそ、生まれた商品だったのですね。次は石川金網の歴史と、今後の挑戦にせまります。
To Be Continued <第2回>人々をつなぐ、金網作りの魅力。
取材・文・写真:小縣拓馬
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