<第2回>つみ木の新しいスタンダードを目指す、「クミノ」の魅力

KUMINO
きぐみのつみ木
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<前回>は、クミノの製造工程をご紹介いただきました。今回は、クミノの魅力についてお伺いできればと思います。
井上:
「ひとつのカタチ の可能性 ありそうでなかった きぐみのつみき」をキャッチコピーにしています。つみ木としての形は一種類しかありませんが、組み合わせ次第では様々な形で組み上げることができます。
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この形状をどのように思いつかれたのですか?
井上:
私が大工の職業訓練校を卒業する2週間前に、建物の内装工事をしている時に思いつきました。そこからすぐに試作品をつくり、これは事業になると確信したんです。
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建物から着想されたのですね。
井上:
日本の家の多くは木を組んで作るのに、なぜその原理を活用したつみ木が無いのだろうと思ったのが原点になっていますね。
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クミノの一辺が「一寸(約3cm)」なのにも意味があるのですか?
井上:
様々なサイズを検討した上で、最後は建築業界で長らくで使われている「寸」という寸法を信じてみようと思いました。この単位は、人間の身体感覚から編み出された単位なので、その感覚を信じてみようと思ったのです。
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たしかに、つみ木で遊ぶ中で、建築物の仕組みも自然と体感することができそうです。
井上:
実際の家の木組みをそのまま小さくするのでは模型になってしまい、自由さを秘めたおもちゃにはなりません。クミノの形は1種類だからこそ、自由な発想を広げることができます。
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あらためて、クミノの遊び方について教えてください。
井上:
クミノは様々な形に組み上げることができ、しかも普通のつみ木と違って「バラバラにならない」のが特徴です。
井上:
私には10歳と3歳の子供がいますが、3歳の子供はクミノで道路をつくったりしていますね。この上にミニカーや電車を走らせるんです。
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なるほど。他のおもちゃとも一緒に遊びやすいですね。
井上:
クミノなら長い橋も作れるし、簡単には崩れない頑丈な建物もつくれる。私はクミノがつみ木の新しいスタンダードになれると信じています。
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「クミノ」には、ひとつひとつに木の産地に関する焼印が入っているのも印象的です。
井上:
「木は必ず生まれ育った場所がある」というのが、木の面白さであり、特異性だと思っています。木の産地を焼印することで「地産地消」型のおもちゃにしたいと思っているんです。
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それは面白い発想ですね。
井上:
日本の2/3は森林です。これだけ豊かな森に囲まれているのに、私たちは普段の生活の中で、身の回りにある森の木で作られたものを目にする機会がほとんどありません。「このおもちゃは、あの山の木でつくったんだよ」という言葉とともに、届けられるおもちゃにしたいのです。
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つみ木を通して、産地に思いを馳せるわけですね。
井上:
将来的には、スマホの文字認識機能を活用して、地域のデータベースにアクセスできるような仕組みもつくりたいと思っています。クミノという物理的なピースを通して、地域に関心を持ったり、実際に遊びに来てもらえたら最高ですよね。
井上:
海外のお客様にも、日本という「国」のみならず、「地域」にアクセスする入り口に、クミノがなっていけたらなと思っています。
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お話をお伺いしていると、クミノを通して、井上さんご自身の様々な課題意識を解決されようとしていると感じます。
井上:
形だけのアイディアだと、コピーされて、価格勝負になってしまいます。そうでなくて、クミノならではの新しい価値を広げていきたいと考えているんです。
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なるほど。
井上:
ちなみにクミノは木以外のバージョンも考えています。アクリルやアルミなど、木と組み合わせると面白い素材はたくさんあります。
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木にこだわってらっしゃるのかな、と勝手に思っておりました。
井上:
もちろん木にこだわりはありますし、森林と携わりたいという思いが原点にはあります。しかし、木に携わる人は「木は良いものだ」と一方的に言いがちで、他の素材と比較したり、共存することを嫌う傾向があります。私は、いろんな素材の良さを引き出して、同じ土俵で比較できるようにすることで、かえって木の良さ、面白さが伝えられると思っているんです。
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それは今後の展開が楽しみです。
井上:
はい。私はクミノがつみ木の新しいスタンダードになると信じています。ぜひこれからのクミノの展開を楽しみにしていただけたらなと思います。
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「ありそうでなかった きぐみのつみき」、クミノの遊びには、単なるつみ木遊びを超えた思いが込められていました。クミノが定番のつみ木として日本中に広がれば、きっと「身の回りの山」に対する子どもたちの見方も変わってくるでしょう。
次回、代表の井上さんに、クミノで見据える未来について語っていただきます。
To be continued <第3回>つみ木「クミノ」で、森と人との新しいつながりをつなぐ
取材・文・写真・映像:小縣拓馬
写真協力:クミノ工房
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