<第3回>プロデューサーが解説!はじめてでもわかる?「ヘキサギア」

<第3回>プロデューサーが解説!はじめてでもわかる?「ヘキサギア」

<第3回>プロデューサーが解説!はじめてでもわかる?「ヘキサギア」

ヘキサギア HEXA GEAR

キットブロックシリーズ

今回のエピソードは、「ヘキサギア」プロデューサーの亀山直幸さんが語る、「はじめてでもわかるヘキサギア」。

 

Episozeの解釈も交えながら、できるだけ平易な表現にてお届けすることに挑戦します。(結果、5,000文字+19画像の長編となってしまいした。。ディープな世界へようこそ!!(笑))

 

◆◇◇◇

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さて、今回「はじめてでもわかるヘキサギア」ということで、「ヘキサギア」が生まれた経緯、商品の特徴をお聞きしていきたいと思います。

 

亀山:

「まず前提として知っておいていただきたいのは、コトブキヤの『M.S.G(モデリングサポートグッズ)』という、プラモデルの既製品を改造するための武器や手といったパーツ単品を展開するシリーズです。」

 

▲M.S.G「ハンドユニット 丸指ハンド・ネオ」(発売中)

 

亀山:

「これらのパーツは基本的に『3mm』の共通ジョイントが採用されているため、自由に組み換えて遊ぶ事ができます。」

 

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プラモデル、というよりもブロック、というイメージが近いかもしれませんね。

 

亀山:

「そうですね。そして、そこから派生して生まれたのが『ヘヴィウェポンユニット』というシリーズ。細かい武器パーツを組み上げていくことで、オリジナルの大きな武器が作れるシリーズで、私の担当商品で最初にヒットした思い入れのある商品でもあります。」

 

▲M.S.G ヘヴィウェポンユニット「HW-01 ストロングライフル」

 

亀山:

「コトブキヤの人型ロボットシリーズで『フレームアームズ』という人気シリーズがあるのですが、M.S.Gのパーツはこのシリーズとも互換性があります。なので、2013年1月に発売された『ヘヴィウェポンユニット』の第1弾『HW-01 ストロングライフル』は、いまだに『フレームアームズ』の新商品が出るたびに、連動アイテムとして需要が高まるほど人気が続いています。

 

▲新しい「六角形ジョイント」も含めたジョイントパーツリスト

 

亀山:

「一方で、私は『3 mm』 の共通ジョイントに限界も感じていました。それは、大きな商品になると、『3mm』ジョイントでは強度的に不十分になるということ。作例コンテストを実施した際に、ユーザーの皆さんが大きな作例を立たせるのに苦労している姿を見て、新しいシステムの必要性を感じていました。そこで、さらに組み換え遊びを追求するために生まれたのがヘキサギアの基幹システムでもある六角形の『ヘキサジョイントシステム』です。

 

(ここまでのおさらい)

『M.S.G』:多くの商品に3mmジョイント同士で組み合わせができる共通規格を採用しているカスタムパーツシリーズ

『ヘヴィウェポンユニット』:小さな武器を組み合わせて大きな武器ができる、M.S.Gの派生商品。亀山プロデューサーのターニングポイントとなった。

『フレームアームズ』:コトブキヤの人気ロボットシリーズ。M.S.Gを組み合わせて遊べる。

『ヘキサジョイントシステム』:新たに開発された六角形ジョイント構造。強度が高い。のちのヘキサグラムシステム(ヘキサギア発売後に名称が改められた)

 

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ついに「ヘキサギア」が登場しましたね。

 

亀山:

「はい。しかしながら企画当初は、人型ロボットや人型フィギュアシリーズは実績があるものの、獣型ロボットに対する社内の信用は低かったんです。なので、実績のある人型ロボットシリーズに『ヘキサジョイント』を先行して普及させることで、同じジョイント機構を持つ獣型ロボットシリーズ『ヘキサギア』が売れやすい土壌をつくろうと考えました。」

 

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なるほど。連動アイテムとして遊べる商品は長く売れる、という成功事例をヘキサギアにも踏襲されたのですね。

 

▲六角形ジョイントが先行して導入された「ギガンティックアームズ01 パワードガーディアン」

 

亀山:

「その通りです。そこでまず『ヘキサジョイント』を導入したのが『ギガンティックアームズ』シリーズです。このシリーズは、すでに実績のある人型フィギュアを搭乗させて遊ぶことのできる強化外骨格ユニットです。先に六角形ジョイントを多くのユーザーに普及させることで、連動して遊べる『ヘキサギア』を買いやすい土壌をつくりました。

 

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そうやって社内の理解も醸成されていったのですね。

 

亀山:

「中には反対の意見もありましたが、最後は強気に押し切って商品化を勝ち取りましたね(笑)。」

 

◇◆◇◇

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ついに「ヘキサギア」の商品化が決まりましたね。あらためて、「ヘキサギア」の概要について教えてください。

 

亀山:

『ヘキサギア』は、プラモデルという表記ではなく、キットブロックと呼称しています。プラモデルのようにディティールは細かく表現されているけれど、ブロックのように何度も組み換えて遊べる。『スクラップ&ビルド』がコンセプトになっています。」

 

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「集めて飾るだけじゃなく、長く遊べるものが好き」とおっしゃっていた<第1回>亀山さんの趣向が表現されているように思います。

 

亀山:

「そうですね。単に組み立てて終わりというだけでは面白くない。終わったところから本当の面白さが始まる、というのがこのシリーズで目指していることです。シリーズのキャッチコピーは『破壊も創造もすべてお前が決めろ・・・」で、この言葉は『ヘキサギア』すべての商品に当てはまるとても大切な言葉になっています。」

 

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お話をお伺いしていると、基本的にはこれまでに「フレームアームズ」などを楽しまれてきた方向けの、ハイエンドシリーズという印象です。

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亀山:

「そうですね。メインターゲットは『フレームアームズ』を長く遊んできて、物足りなくなったような人たち。なので、世界観やデザイン、組み立て難易度も、玄人好みな仕様にしています。

 

 

亀山:

「ただし、『プラモデルを初めて作る』といった方々にも人気なのが、この『ガバナー』という人型フィギュア。美少女フィギュアは市場に溢れているけれど、『かっこいい男性フィギュア』が市場に枯渇している。なので、『ガバナー』をプラモデルのエントリーアイテムとして買ってくださるお客様も多いんです。」

 

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たしかに。これなら初心者でも気軽につくることができそうです。

 

亀山:

「早い人なら20分もあれば作れてしまいますね。価格も手に取ってもらいやすい価格帯を目指したおかげで人気商品になっています。」

 

 

亀山:

「もうひとつだけ、、『スクラップ&ビルド』に込めた想いについて語ってもいいですか?(笑)」

 

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もちろんです!(笑)

 

亀山:

「実は、私の上司が『プラモデルを作ることが、集中力を養うなど、脳に良い影響を与える』という研究を長年されていて、その実証がこのシリーズのサブテーマでもあるんです。」

 

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組み換え遊びは楽しいだけでなく、頭も良くなるんですか!

 

亀山:

「研究の結果としては普通のプラモデルより集中力が高まるというものですね。ヘキサギア自体の知育玩具的なアプローチとしては、素材を使って自由な形に作ることができる仕様がアイデアを形にする力、パーツを効率よく使う力、美的感覚の向上、連想する力、ギミックや可動の事を考えた機能性追求の思考などを鍛えることができると考えています。試作品が出来た段階で、共同研究している大学に行って学生さんたちに遊んでいただいたりして仕様の検討材料にしたんです。」

 

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具体的にはどこの部分に研究が生かされているのでしょうか?

 

 

亀山:

「たとえば組み換え遊びの難易度設計では、没頭度・集中力が増すような設計を意識しています。また、取扱説明書をすべてカラーにしているのも、視認性という部分で白黒の場合と比べて反応の差があるか、というテーマを持っているんです。何度も組み換えて遊ぶ商品なので、パーツの特定を形だけでなく色で表現することで、わかりやすく遊べるように意識しています。

 

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それだけコストもかかりそうです。

 

亀山:

「そうですね。色変えの商品を作るだけでも、すべて取扱説明書を作り直す必要があるので、コストは他商品よりもかかります。しかし、研究テーマでもあるので、何度も思考錯誤を続けており、ユーザーさんから挙げられた不満点についても改善できるところから対応しています。」

 

◇◇◆◇

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「ヘキサギア」といえば、やはりこの工業製品的なメカデザインが印象的です。このデザインを検討された背景についてもお聞かせください。

 

亀山:

「コンセプトのラフデザインを描いてくださったのは、模型の王国主宰の東海村 原八さん。そのラフをもとに、ヘキサグラムシステム(六角形ジョイント)の基本構造を、コトブキヤの設計士である丸家裕之介が考案し、六角のサイズや素材などが検討されます。」

 

▲東海村原八氏によるコンセプトデザイン一部抜粋

 

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六角形ジョイントは、この段階で考案されたのですね。

 

亀山:

「はい。この段階で『ヘキサギア』のアイコンが出来上がります。そして次に、実際の商品となるメカニックデザインにうつります。」

 

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運命的な出会いをされたとおっしゃっていた<第2回>デザイナーの方の登場ですね。

 

亀山:

「はい。メカニックデザインはMORUGAさんに担当していただきました。MORUGAさんのデザインの特徴は、日本の一般的なロボットアニメとは違う独特なライン。そして最初の第一稿がこれです。」

 

▲MORUGA氏による商品デザイン第一稿

 

亀山:

「商品と比べていただくとわかると思うのですが、最初からシルエットはほぼ完成していました。そのくらい、コンセプトを聞いただけで、私と同じ美的感覚でデザインを仕上げてくれる方なんです。そして、『目が欲しい』という指摘を加味されたデザイン第二稿がこれです。」

 

▲MORUGA氏による「レイブレード・インパルス」商品デザイン第二稿

 

亀山:

「この段階から、色味の検討をして決定稿が出来上がります。実はこのキャラクター『レイブレード・インパルス』の名前にも入っている『レイブレード』というメイン武器は、最終稿でいきなり盛り込んできたものです。やっぱりレーザーブレードはあった方が良いと思って!とかいって(笑)」

 

▲MORUGA氏による「レイブレード・インパルス」商品デザイン決定稿

 

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デザインが完成したら、次は試作品ですね。

 

亀山:

「はい。納品されたデザインの通りに原型をつくったのですが、ここでもMORUGA氏のメカへのこだわりが爆発します(笑)。自分でデザインしたロボットなのに、『こうした方がもっとかっこよくなると思います』とさらっと言うんです(笑)。そんな議論とデザイン修正を何度も重ね、最終的な商品の形が出来上がりました。」

 

▲主役機「レイブレード・インパルス」

 

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様々なパーツが、キャラクター間で共通して使用されているのも「ヘキサギア」の特徴ですよね。

 

亀山:

メインフレームは同じパーツだけれど、特徴的な部分だけ別パーツにすることで別キャラクターになる、という商品がたくさんあります。たとえば、四脚獣の『レイブレード・インパルス』と、ラプトル型の『ボルトレックス』の体の後ろ側は、ほぼ同じパーツが使用されています。」

 

▲ラブトル型「ボルトレックス」

 

 

亀山:

「ただし、必ずキャラクター毎に『主役パーツ』は入れるようにこだわりました。たとえば必殺武器だったり、コックピットだったり。それぞれのキャラクターの特徴をあらわす『主役パーツ』を集めたくなるのも、組み換え遊びがコンセプトの『ヘキサギア』ならではの仕掛けですね。なので「レイブレード」という必殺武器はレイブレード・インパルスにしか絶対に付属しません。」

 

▲主役機「レイブレード・インパルス」のコックピットデザイン修正指示書

 

◇◇◇◆

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初心者の方にも人気の『ガバナー』についてもお聞かせください。

 

 

亀山:

「デザインとしては量産兵みたいだけれど、ヒロイックでもある。アーマーの中に『自分の分身がいたら』と妄想して楽しんでいただくことをテーマにしています。なので『ガバナー』は作品内においては登場するキャラクターたちの役職名であり、同時にシリーズを楽しんでいるユーザーたちの総称でもあるんです。」

 

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なるほど。

 

亀山:

「そんな『ガバナー』は当初は1/35スケールの固定フィギュアになる予定でした。」

 

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キットブロックではなかった、ということでしょうか。

 

亀山:

「そうなんです。しかし、様々なスタイルの獣型ロボットに搭乗するためには、搭乗姿勢を変える必要があるということで、組み立て式のアクションフィギュアに変更になりました。ここでも、このサイズで出来うる限界を追求するべく、私と原型師で構造について議論を重ねました。

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小さいながら、可動範囲が広いことがポイントなのですよね。

 

亀山:

「たとえば、メカにまたがる際にはバイクみたいに背中をそらしたライディングポーズを出来るようにしたい。加えて、兵士だからライフルを構えるポーズにはこだわりたい。そういった鍵となるポーズから逆算して、関節構造や素材を考えていきました。

 

 

亀山:

「『ガバナー』が始めて情報公開された際には、『組立式アクションフィギュア』といった紹介のされ方をされています。組み立てる工程はあるんだけれど、重要部分は塗装済みパーツなので、最低限のキャライメージは組み立てるだけで出来上がる。そんな魅力を持った商品になりました。」

 

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すべての商品に事細かにコンセプトが作り込まれているのですね。

 

亀山:

実はこのシリーズの仕事で一番大変なのが『設定文作り』です(笑)。オフィシャルサイトのエピソードや商品封入カードに書くテキスト。すべて桑村というメンバーと私で、一緒に空き時間を見つけて少しづつ書き上げています。ぜひ、その部分も注目して楽しんでいただけると嬉しいですね。」

 

◇◇◇◇

奥の深い「ヘキサギア」世界。亀山さんを筆頭に、開発メンバーたちの熱い想いは理解していただけたのではないでしょうか?

 

次回は、亀山プロデューサーに、ものづくりへの想いを語っていただきます。

 

To be continued <第4回>仕事こそが、人生を豊かにしてくれる

 

取材・文・写真:小縣拓馬

写真協力:コトブキヤ

 

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